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経営の流儀−次世代リーダー育成塾

(編)嶋口充輝 竹内弘高
価値創造フォーラム21

あとがき

一般社団法人 価値創造フォーラム21
理事長 槍田 松瑩

「価値創造フォーラム21」は異なる業種、異なる立場の経営者が集い、新しい時代の価値創造を目指そうとの共通の志をもって、1998年4月に設立されました。
私は本年(2010年)4月に、帝人の長島 徹会長の後を受け理事長に就任致しました。2001年4月から2年間理事を務めさせて頂いたこともあり、本フォーラムとの関わり合いはかれこれ10年になりますが、これまで活動に参加された理事・幹事の多くの経営者の方々が、その後各界で“価値創造リーダー”として活躍されている事を大変嬉しく、そして頼もしく感じています。

本年度の統一テーマは「グローバル新時代の価値創造」ですが、この「グローバル」という概念についても、より深い理解と洞察を進めていきたいと思います。ICT化の進展で情報が瞬時に世界中に行き渡る仕組みができて便利になったり、経済のグローバル化によってたくさんの人たちの生活が豊かになったのは事実ですが、一方で格差が拡大したり、資源供給不安が広がったり、さらには世界中で連鎖の如く信用不安が増幅されるケースもあるなど、弊害となる面も決して少なくないと感じています。真のグローバル化を実現するにあたっては、欧米先進国の一方的な価値観の押し付けでなく、実際にその国に住む人々の文化や伝統、宗教等に根ざした、そこに生活する人たちの固有の価値観や幸せといったものにも十分な配慮がなされるべきだと思います。もちろん、グローバル化の流れは止められませんが、だからこそしっかりとしたルール作りがこれからの重要な課題であると認識しています。「野放しのグローバル化」から「調和の取れたグローバル化」へ、転換の時期を迎えているのではないでしょうか。近時、我が国の経済活動が停滞し、ある種の閉塞感に包まれている一方、中国、インドを中心とするアジア諸国やブラジル、ロシア等新興諸国の経済発展には目覚しいものがあります。このような「地軸の変化」に代表されるパラダイム・シフトが今後さらに進展していく中で、日本が決して内向きにならぬよう、国際社会の中での存在感やアピール力をもっと強めていくためにはどうすればよいか、「真のグローバル化」という文脈の中で、大いに議論して参りたいと思います。

時代と環境の大きな変化に立ち向かうためには、より高い「知」のレベルが求められますが、そのためには、やはり「人材のグローバル化」が一つの鍵となるでしょう。多様化した人材が相互に刺激し合い、切磋琢磨する中で生まれる文化や価値観にこそ、現状では想像し得ない新たな力を生み出す可能性があるのではと考えています。しなやかな変化対応力としっかりとした倫理観をもち、周囲を明るくエナジャイズできる力を兼ね備えた「グローバルに通用する次代のリーダーの育成」は大変重要な課題であり、引き続き真摯に、じっくりと取り組んでいきたいと思います。

2009年10月1日に「価値創造フォーラム21」は一般社団法人として新しい出発を致しました。今後、これまで以上にフォーラムの活動を活性化し、情報発信力を高め、価値創造のあり方を探求する有意義な「場」として産業界や学界における様々な価値創造のプロセスやシステムの進化を促しながら、日本経済と社会の持続的な成長と発展に寄与して参りたいと考えています。引き続き、倍旧のご支援、ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

2010年7月

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